今日の衆議院選、投票に行こうとしたら、不思議なことがあった。
選挙権自体はある(憲法で定められている要件は満たしている)のに、投票することが出来なかったのだ。
簡単に言うと、
俺の今年の引っ越しの際に転出届やら転入届けやらを出したんだが、
転出届に記載した異動日(引っ越す日)と転入届に記載した転入日(新しく転入する日)の間に若干の期間を空けてしまった。
その期間にどうやら選挙区を決める「基準日」というものがちょうど入ってしまったらしい。
図にまとめると下記のような状況。

つまり、「基準日」の瞬間に俺はA区にもB区にも住んでなかったのだ。
この瞬間、俺は選挙権をもっているにも関わらず、どこの選挙名簿にも登録されていない状態になったらしい。
もちろんこの事実は俺には知らされず、時が過ぎて、選挙日が迫った。
選挙用紙が何故か自分の現住所にも前住所にも届いてこない。
選挙用紙を持たなくても自分の選挙区を知っていれば選挙に行ける事をわかってたので、
「何かの手違いだろう」と思い投票所に行った。
「選挙用紙が届いてなかったので、名簿照合をお願いします」
と身分証を提示して、待つ事15分。
係員が申し訳なさそうに、
「残念ながら●●様は選挙の基準日にA区にもB区にも在住していなかったので、
今回の選挙には投票することができません」
と返してきた。
さすがにこんな軽い手違い(?)で自分の選挙権が剥奪される訳はないだろうと思い、
係員に色々と詳細を聞いたり区役所に電話をつないでもらい色々と説明した結果、
「基準日」の瞬間に自分がどこの区にも住んでいなければ、どこの名簿にも登録されず、投票することができない
という事を知った。
とりあえず俺は納得して「お手数おかけしてすみません」と言って投票所を後にしたが、
色々と考えさせられた。
選挙権というのは、日本国憲法の第15条で定められている。
20歳以上であり、犯罪者とかではなく、どこかの区に三ヶ月以上住んでいれば、保障されるはずの権利だ。
この権利は、今回のような絶妙な抜け穴でいとも簡単に消えてしまった。
これは「ドーナツ無料券」や「税金1%免除」とかの話ではない。
国民が憲法で保障されている基本的な権利 の話だ。

今回俺から消えてしまったのは「選挙権」だったが、これが例えば「生存権」だったらどうだろう?
「残念ながら、書類内容の不備により、あなたの生存権は無くなりました。申し訳ございませんが、国家はあなたの命を保障することができなくなりました」
なんて言われたらどうだろう。
大げさに聞こえるかもしれないが、選挙権と生存権は両方とも憲法で保障されている権利だ。
なので、実際にはこれと同じレベルの事を俺は今回経験した。
他の人はどう思うんだろう?
選挙を神聖化している人達はこれを聞いて何を思うんだろう?
別に今回の件は誰のせいでもない。
俺が転出届を出す前に「選挙の基準日はこの日だから、そこに重なるようにしなきゃ」
なんて考えるのは現実的ではないし、
区役所の人にそんな説明を要求するのもおかしい。
ただのルールの抜け穴だ。
事務作業の中に埋もれた抜け穴ひとつで自分の基本的人権は消えてしまう。
その事実を目の当たりにして、
「この国の民主主義は、本当に自分達が思っているほど完璧ものなんだろうか」
ということを一度考える機会になると幸いです。
※「転出日と転入日の間を空けるなんておかしい、自業自得だ」
なんて言う人もいるかもしれないし、
「しょうがないんじゃないか」
と言う人もいるかもしれない。
何と言われてもいいけど、
それが果たして「生存権」や「言論の自由」と同じレベルの国民の基本的人権を剥奪するに値するものなのかどうか、
それは考えてみて欲しい。
「江川の空白の一日」みたい。法律の穴埋め(改定)が必要ですね。
総務省HPより抜粋
http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo07.html
—-
選挙人名簿に登録されている人が、次の事項にあてはまった時は、その人は名簿から抹消されます。
(2)転出したときはすぐには抹消せず、転出したことを表示しておいて、転出日から4カ月を経過したときに抹消します。
—-
四ヶ月以上も住所不定にしておいて、まるでたった一日の空白で権利が消失するかのような書き方はアンフェアだとおもうのですが如何でしょうか。