ここ最近ハーフや日系人の人達に会う機会が立て続けにあり、
くだらない話や、お互いの近況、考え方、他様々なトピックを
シェアしたりDiscussionしたりする事で、また更に自分の視野を
広げる事ができた。考えさせられる事も多かった今日この頃なので、
今回は久しぶりにじっくり書いてやろうと思う。
僕がお笑いをやるにあたって、自分が黒人と日本人とのハーフで
名古屋で生まれ育った事、そして見た目などは他の芸人さんが
真似したくてもできない格好のネタなので、(スキンヘッドにしたのも、
芸人やるならより強いインパクトを、、との狙いも少なからずあった。)
そのアドバンテージは最大限利用して行こうと思っているのだが、
人種やら世間一般に際どいとされるテーマをネタにする場合、
切っても切り離す事のできない問題が、差別、
そしてそれにまつわる規制などといった事柄である。
アメリカの場合、特にテレビにおいては、 黒人にたいして
他人種がうかつにツマらないジョークなど言うべきではない、
いや言ったら確実に痛い目をみるという認識が定着している為、
たまに政治家やタレントがポロっと人種差別的な発言をして、糾弾され、
すぐに発言を撤回、弁明したりという事がある。
アフリカンアメリカンにまつわる冗談を他人種が言うのは
タブー視されているようだ。 これは何もテレビだけではなく、
日常生活レベルでも暗黙のルールみたいになっている。
でも逆に黒人が、白人やその他の人種をジョークのネタにするのは
一応OKというか黙認されている。何故か、という理由については
ここでは触れはしないのだが、僕が触れておきたいのは日本国内においての、
一般的な日本人の黒人に対する意識についてである。
日本国内においては、一応は容姿などの異なる人間もいる
という事は分かるが、とりあえずまだその問題は上に置いておこう。
という感じで棚上げされているようだ。とりあえず日本っていう国は
~単一民族~の国だから、「一般的な日本人のルックスは?」
と聞かれれば、僕でもまあいわゆる’アジアン’な顔のイメージが先行するだろう。
僕はここにつけ込んで、この一見するとガチでアフリカンな
ノリのスキンヘッドの黒人が、実は流暢な日本語を喋る
武内という名前の名古屋人というギャップを笑いに繋げようと
日々虎視眈々と勉強している最中なのだが、その際に
やはり少しばかり危惧するのは、マイリトルブラザー&シスター、
現役のヤングな(特に黒人)ハーフの少年少女達である。
~アフリ会 Vol.3~ 会話はもちろん日本語である。
例えば、僕が仮にメジャーになってTVに出るようになって、
ただ笑いがとりたいが故に無責任に外見、肌の色にまつわるジョーク、
ステレオタイプな黒人、etc を自ら演じたり、他の芸人さんから
いじられたりして、それがTVでオンエアされる事によって、
「こういう冗談はありなんだ。こういうのはジョークで許容されるレベルなんだあ。」
という意識が一般大衆に定着してしまい、それによって
ハーフの少年少女達が変にからかわれたりはしないだろうか、、
という心配を、芸人としてはまだまだペーペーの鼻くそみたいな
段階の今から心配しているのだから、しょーもない。(^_-)
そういえば何年か前に、みのもんたさんが、
ご自身の番組内の’今週の芸能NEWS’的なコーナーで、
ナイジェリア出身で今現在は帰化して日本人になった黒人タレントの
ボビーオロゴンさんの年齢詐称疑惑が浮上した際に、、
「顔が黒かったんで、年がいくつかわかんなかったですね~」
と冗談ぽく言ってしまい、CM終了後に
「あきらかに人種差別を助長しかねないような表現があった。」
と別のアナウンサーが謝罪し、
ネット上などでみのさんが糾弾されるという出来事があった。
この件に関して、当のみのさんは何も謝罪もコメントしていない。
(多分、何をそんな騒いでんだか。。と鼻で笑ってると思う)
しかし絵本のチビ黒サンボが廃版になったり、
昔はあったクレヨンの「肌色」という名称がいつのまにか
なくなり変な名称に変わっていたりと
、時代と共に規制されて、タブーになってしまった言葉やアートは多々ある。
僕自身は、若い頃は色んな事で悩んだりもしたのだが、
今は大人になって全ての事に吹っ切れたというか、
超越したというか、大概の事は大した問題ではない、と考える程、
神経が図太くなってしまった。
ましてや笑いの世界では自分の事をネタにし、
周りに笑いが生じれば御の字。つまらない事で万が一怒ったりして
場の空気を乱してしまったら、そっちの方が僕にとっては、
「武内、小っちゃい男エピソード」
が増えてしまう様な気がして嫌なのだ。。♪───O(≧∇≦)
後編に続く、、、、、
「日本の差法」
車椅子芸人ホーキング青山さんとタケシさんの対談本。
障害者や健常者がお互いに言いたい事が言い合える世の中にしていこうぜ!
と二人の奇才がざっくばらんに語り合っている面白い本だ。
最近ではフランス国営テレビのとある番組の、
人気コメディアンかコメンテーターか分からないが、
サッカー日本代表のGK、川島選手と福島原発事故を揶揄した様な
ブラックジョークを発言、問題になりフランス政府のお偉いサンが、
玄葉外務大臣に謝罪するという事態にまで発展した。
(当の本人は、発言に対して謝罪も撤回もしていない。
悪意は絶対になかったとは言っているけど、
「マジかまさか全世界からバッシング受けるとはな~(-。-;
今度からこの手のジョークは酒の席だけにしようッと」
くらいに思っているんじゃなかろうか。
川島選手は以前もサッカーの試合中に、
同じく福島ネタで野次を受けた事は記憶に新しい。
もっともこれは完全に悪意を持った野次であるから、
タチが悪い。
日本人には「カワシマ、フクシマ」と言ってもピンとこないけど、
外国人にとっては耳慣れない国の言葉で、
ライムしている(韻を踏んでいる)というトコロが面白く感じるツボなんだろうか。
いずれにせよ、今の時代に人々の反感を買うような発言を軽はずみにすれば
瞬く間にネット上に情報は出回り、全世界に飛び火してしまうのだ。
しかしこうしたNEWSを耳にするたびに、
笑いは時に、人を楽しませるモノだが、
裏を返せば残酷なモノであるな~と改めて思う。
人の不幸は蜜の味、他人の一番触れて欲しくないであろう
ある意味痛い部分に笑いのエッセンスが転がっている、
という事実に反論はないと思う。
(ロシアの劇作家チェコフから、ドリフターズのネタでありそうな
葬式で思いっきりオナラをしてしまうシチュエーション、
日常生活においては、友達が滑って転んだのを見て笑ってしまうなど)
日本の場合はここに付け加える形で、人の容姿とかを茶化して、
笑いに変えてしまう(おデブ芸人など)。更にこれは日本独特だな~と思うのは、
かなりピンポイントで外見の特徴的な部文を指摘して、
いじる笑い(ブラックマヨネーズ吉田さんのブツブツや、
ダウンタウン浜田さんの唇など)、
これは人それぞれの多様性を大事に考えるアメリカなどには、
どこがどうオモシロいのか全く分からないし、
ただの悪口にしか聞こえないだろうと思う。
他人の 特徴的な外見などを指摘して取る笑いは、
誰でも割と容易に笑いが取れるし、何らテクニックも必要としないので、
ユーモアのレベル的には1番簡単、そして一般的な種類だ。
それこそ前述したみのもんたさんの例ではないけれど、
この手のジョークは本当に日常会話レベルで常日頃耳にするし、
自分が意識せずとも言っている事はあると思う。
ホンコンさん、山田花子さん、若手だと渡辺ナオミさんなどなど、
自身の外見的特徴を自分の持ち味にしている芸人さんも腐るほどいる。
さてさて、僕(ぶらっくさむらい)の場合も例に漏れず、
この褐色の肌はその芸名が示す通り格好のアピールポイントなので、
自分で武器としては利用するが、肌の色に関するジョークは
周りから言われるケースの方が多いし、これからもそうなる様な気がする。
個人的には外見にまつわるジョークは別に嫌いでもないが、
生産性に欠けるというか、POP過ぎて、何のひねりもないので
あまり好きなタイプの笑いではない。
もっとも、シュールでアーティスティックな事ばかりを言って、
ドカンドカンと笑いを取れたらCoolなんだけど、
ベテランの芸人さんともなれば色んなタイプのユーモアのテクニックを
マルチに駆使する事により、一分とか短いスパンではなく、
番組全体、あるいは一つのLiveパフォーマンス全体を通した
緩急の様なものを考えて喋ったりもしているから、
一部分だけを抜粋して、あーだこーだなんて言えたモノではない。
それ以前にまだまだ笑いに関しては未熟者の僕だが、
この特異な外見なりを周りからいじって、引き出してもらう事によって、
滑った時のピンチを救ってもらったり、
寒い事を言って凍りつきそうになった空気を
例えば外人キャラに逃げて、ツッコんで頂き、九死に一生を得た事もあるので、これはもう
このルックスを与えてくれた神様に感謝してもしきれない。
事務所の先輩芸人、ギフト矢野さんとの2ショット。
地黒の矢野さんのキャッチコピーは「褐色の男性」だった。
僕が事務所に入る前までは、、、笑
しかし黒人の肌の色に関しては、色んな歴史的な背景もあったり、
未だに差別的な扱いを受けている人達がいたり、
本当にバックグラウンドがあり過ぎるので、自分達の肌の色を
他人種から、例えジョークであっても茶化されたりされるのは受け入れられない、
あり得ない、と考える黒人が大半だと思う
僕、ぶらっくさむらいの場合は、自分の立ち位置が
ひじゅーーに難しいところでもある。何故かと言えば、
一応アフリカ人の血が半分入っているのだが、アフリカに行った事もなければ、
アフリカ人の父とは一緒に住んだ事もなく、喋った事もない。
アフリカの事など全く知らずに育ったので、まあ要するに
少し日焼けした日本人という様な感じで日本で生まれ育ってきた。
(実際、見ず知らずの年配の方達から夏の間は、
「お兄ちゃん、よく日焼けしてるな~」とちょくちょく言われる。」笑)
自分の中に沸々と流れるブラックソウルは感じるが、
自分は日本人だと思っているから、多分ピュア(?)な黒人と同じ様な感覚は
持ち合わせておらず、外見をいじられるのは昔はあまり好きではなかったが、
芸人をやっている以上、笑いにできるモノはなんでも笑いに変えてしまおう
という意識が先行する為、噛み砕いて言えば、松崎しげるサンが自分が
色黒なのを売りに使うのと同じ様にやっていければと思っている。
どんな仕事であろうと、最初から自分の好きな事だけできる訳はないのだ。
それに僕のみているところは、そんな小さいトコではなく、
もっと遥か先のデカイ世界なので、細かい事は抜きに
ブラックサムライはヤバい
と同じ様な境遇を歩んでいくであろう、
未来のハーフ少年少女達の憧れになりたいと~、、、
いや、これで終わったらいくらなんでも、カッコ良すぎるだろ!芸人として!
2012年 11月8日 武内 剛 (HP) http://takeuchigo.com
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